トレンチ・コート【VAN】

トレンチ・コート[Trench coat]　【ＶＡＮ】　　※写真をクリックすると拡大表示します

ビジネスコートとして着られることが多いトレンチコートですが、第一次世界大戦中、イギリス軍が塹壕（トレンチ）戦用に開発・採用されたのが、その始まりと言われています。軍用品として機能性が追求されたデザインです。		後ろ姿から窺える機能的仕様は、ラグランスリーブそしてケープド・バックでしょう。雨が最も当たる背の上部につくケープ状のヨークで、生地が計３枚重ねられています。風雨に対する機能はこれだけではありません。


両肩のエポーレットは、肩から下げた銃や双眼鏡がずれ落ちないための留め具です。ダブルブレストは、風向き次第で左右のどちらを前にも着られるようになっています。Ｄリング（ベルトに付けたＤ字型の金具）は、本来は手榴弾や水筒をぶら下げるための装備です。		トレンチコートにおいても、バーバリーとアクアスキュータムがあまりにも有名ですが、私のお気に入りトレンチはVANのものです。生地は綿ギャバジンで、風雨から身を守るこのコート本来の素材です。左右の襟には、襟元をしっかり留められる金具が見えます。


（１）さて、画像の中央に見えている、右前肩に付けられた布は、ストーム・フラップです。本来はただの飾りではありません。		（２）ストーム・フラップの下には、ご覧のようにじつはフロント部分と同じ大きさのボタンが装備されているんです。


（３）左右の下襟を合わせたら、左の下襟を前述のボタンに留めます。この状態では右肩から風雨の進入が心配で、さらにその上から被せる布がストーム・フラップです。		（４）さらにご覧のように上襟を立てた状態で、襟元にチン・フラップを装着すれば、はい出来上がり。これで襟元からの風や雨は完全にシャット・アウトしてくれます。


カフ・ストラップは、風雨の進入を防ぐため袖口を締めるためのものです。かつてのイギリス軍兵士たちは、塹壕（トレンチ）の中でこんな格好で戦ったのでしょうか。		裏側の袋状のポケットは、ご覧のように新聞が収まる大きさです。しかも、スロテッド・ポケットになっているので、左下の写真でわかるように表側と裏側とが貫通式です。


脇のポケットはフラップ＆ボタン・ポケットです。フラップを開けるとこんな感じです。これも雨などの進入防止でしょうか。		脇のポケットを閉じるとこうなります。バーバリーのそれとはほど遠く、アクアスキュータムに似たような感じです。

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